2021.02.21

GT Young Challenge 2020 試合報告書

去る2月21日(日)に行われましたGT Young Challenge 2020の試合結果につきまして、以下にご報告させて頂きます。


開催日:令和3年2月21日(日)
開催場所:有楽町朝日ホール

○試合結果

(予選 出場10チーム)

順位学校名タイム
優勝中央大学1分45秒726
準優勝法政大学1分46秒771
3位東京農業大学1分47秒706
4位早稲田大学1分47秒921
5位本塾1分49秒528

(準決勝Aグループ 出場5チーム)

順位学校名総合タイム
優勝中央大学30分16秒275
準優勝立教大学31分01秒333
3位本塾31分10秒809
4位千葉工業大学31分15秒687
5位東京農業大学31分19秒451

(決勝 出場6チーム)

準決勝ABグループそれぞれの上位3チームが出場

順位学校名総合タイム
優勝中央大学29分46秒282
準優勝早稲田大学29分57秒754
3位立教大学30分24秒373
4位本塾30分27秒610
5位法政大学30分30秒878

○戦評

去る2月21日(日)、有楽町朝日ホールに於いて、GT Young Challenge 2020が開催されました。

自動車部初の試みであるeスポーツの選手はレースゲームを得意とする主将の坂田(環4)、会計補佐の粕谷(理3)、練習担当の菰田(経3)の計3名で臨みました。

 本大会は世界中で多くのユーザーから愛され、FIA公認の世界選手権も開催されている「グランツーリスモ」を用いて朝日新聞社、全日本学生自動車連盟主催の元に各校3名の選手による大学対抗戦になっています。またゲーム内でも大々的に発表され、公式H Pでなどによる広報やリアルタイムによるYouTube配信など注目を集める大きな大会となりました。レースは団体戦となっており、予選によって準決勝のグリッドが決まります。準決勝はAとBに分かれており、それぞれ上位3校が決勝に進めます。

使用タイヤがソフト・ミディアム・ハードと3つのコンパウンドを必ず使わねばなりません。タイムが出るタイヤは消耗が激しく、またこのタイヤの使用制限は同じ人が同じコースを走ったとしても5秒以上の差に繋がる程大きな要因であります。1人の最低周回や燃費計算など現実世界さながらの細かいレースの戦略と駆け引きが求められました。また使用車両はグループ3というFIA規格でGT3にあたる車両ならどれでも使用可能でしたので、ミッドシップレイアウトによる圧倒的なコーナーリングスピードと燃費性能を誇るR8を選択致しました。

我が部はエースとして絶対的な速さを誇る粕谷(理3)にソフトタイヤを使用させる作戦を起点とし、無駄なバトルを避けつつフリーな状態での先行逃げ切りを目標としました。またバトルでの有利な位置どりに定評がある菰田(経3)をスタートドライバーとしてハードタイヤを使用し、規定最低周回数で交代させつつ安定性が持ち味の坂田(環4)がミディアムタイヤで走り切る作戦となりました。

予選タイムアタックはスポーツランドSUGOにて行われ、隙を見て早い段階から1周のみのアタックに粕谷(理3)が入りました。練習の成果を遺憾無く発揮する為に奮闘しますが、ステアリングコントローラーが練習とは違うアクシデントが影響し我が部は予選5番手という結果になります。

準決勝では3番手からのスタートとなりましたが、上の順位を無理に狙いに行くよりも3番手を何としても死守し決勝に駒を進める事を最優先の課題としました。しかし準決勝コースはR8にとって不得意なストレートが多く続き、オーバーテイクポイントが多数存在します。またスタートドライバーの菰田(経3)が選択したハードタイヤに比べ、後方の大学はミディアムタイヤを使用していました。バトルを仕掛けられ不利な状況な中、遂には最下位にまで順位を落としてしまいました。規定最低周回でピットインをし、給油なしでソフトタイヤに変更し粕谷(理3)に交代します。そして更にこのピットのタイミングが後方3台と同じ予想外な事態になってしまい、団子状態のまま粕谷(理3)は走り出します。この時点で最初の作戦は完全に崩壊してしまいましたが、諦める事なく果敢にバトルを仕掛けます。猛攻を続ける一方でバトルが長引けば長引くほどソフトタイヤは不利になっていきました。コーナーで抜いてもストレートの速さを生かし、オーバーテイクされてしまう状況が続く中、エースとして獅子奮迅の走りで粕谷(理3)は意地で4番手を奪い取ります。そしてそのまま規定最低周回数でラストドライバーの坂田(環4)と交代すべくピットインをしました。燃費計算では予定通り給油なしで走り切れる展開だったのでミディアムタイヤに交換後、すぐに戦線に復帰しますが3番手と5番手はソフトタイヤを温存していた為かなり厳しい状況となってしまいます。ミディアムタイヤで最高周回数をこなしながらソフトの追い上げを抑え込み、更にソフトを追いかけ3番手を奪還する事が要求されました。主将でもある坂田(環4)は必要な情報を教えてくれるチームメンバーと交信をしながら目の前の仕事こなしていく事に集中し、コーナーとストレートではバトル慣れから来る華麗なブロッキングで猛攻を防ぎきります。遂には周回を重ねる事に他校に焦りが見え始めました。3番手の選手によるミスでのスローダウンを見逃さず、すかさず勝負に出ます。オーバーテイクに成功した我が部は残り2周を逃げ続けなればなりません。しかし後方はソフトタイヤの限界でした。ミディアムタイヤの坂田(環4)は鬼気迫る走りによってここで更にペースを上げ、後方の引き離しに入ります。ゴールまで3番手の熾烈な争いとなりましたが、我が部は決勝の出場権を手にする事が出来ました。

決勝は富士スピードウェイで行われ、ゲーム内オリジナルカーによるワンメイクレースでした。燃料が予め足りなくなる事が予想された為、燃費走行をするか給油をするかがポイントでした。スタートドライバーの菰田(経3)はオープニングラップでのバトルに巻き込まれてしまい、大きく順位を落とします。最下位で食らいつきますが、ハードタイヤのハンデが大きく4番手と10秒近くの差が生まれてしまいました。規定最低周回でピットインし、粕谷(理3)がエースとして確実な仕事します。ソフトタイヤでぐんぐんと差を詰め、改めて勝負圏のある事を示します。ペースを落とす事なくハイペースで走行を続け、ここでソフトタイヤの限界まで周回数を引っ張る作戦に変更します。前方がフリーだった事もあり、圧倒的な速さを維持したままラストドライバーである坂田(環4)に交代します。同時に給油の選択をする事で最後まで全開アタックする判断を下します。表彰台にあがるべく、順位を2つ上げますが惜しくも4位という結果になりました。

 今大会では、当初予定していた戦略が通用しませんでした。しかしながらそれぞれが持つ技術を遺憾なく発揮できたと思います。菰田(経3)は「今回の大会で1番難しかったのはハンドルコントローラーへの適応でした。直前にレギュレーションが変更し、本番への不安が大きく次回は練習内容もより綿密なものにしたい」と感じていました。粕谷(理3)は「eスポーツの大会への参加は本自動車部として初の試みであったため、どの車両を選択すべきで、どのように練習すべきか分からないといったノウハウの不足はありました。また、学連としてもeスポーツの大会を運営するのが恐らく初であったためか、レギュレーションの変更が何度かあり、それに振り回されもしました。そんな状況下で決勝まで駒を進められたことを嬉しく思うとともに、決勝ではあと一歩で表彰台に及ばなかったことを悔しくも思います」と触れていました。eスポーツにおける戦略は今まで通りではなく、より精練していく必要があります。今大会で得た教訓を本年度の残りの大会に活かせるよう精進して参ります。

 今後とも自動車部に一層のご指導ご鞭撻を賜ります様宜しくお願い申し上げます。

慶應義塾體育會自動車部

主将 坂田佳哉